「処暑(しょしょ)」という言葉を聞いたことがありますか?
もしかしたら、聞き慣れないかもしれませんね。
処暑は季節を表す暦の「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつです。
二十四節気は、日本に古くから使われてきました。
とはいえ、いまいちピンとこないかもしれません。
そこでこの記事では、処暑がいつなのか、処暑の意味や処暑を使った時候の挨拶、処暑に関連する風習や食べ物などについて紹介しますね。
処暑はいつ? 年によって日が変わる
まずは、処暑はいつなのかが知りたいところ。
はじめに処暑が何月何日なのかを紹介しますね。
処暑の日は8月22〜23日のいずれかです。
実は、処暑は年によって日が変わります。
だいたい8月23日が多いですが、年によっては8月22日が処暑の日です。
2021年(令和3年)は、8月23日 月曜日が処暑の日になります。
処暑はもともと期間を表していましたが、現在では期間の最初の1日を指して処暑と呼ぶことが多いです。
なお、処暑を期間でいう場合、処暑の日から、処暑の次の節気である「白露(はくろ)」の前日までになります。
2020年の処暑の期間は、8月23日〜9月6日までです。
▼以下に、今年と以後5年間の処暑がいつなのかを紹介します。
年 | 処暑 | 処暑の期間 |
---|---|---|
2021年(令和3年) | 8月23日 | 8月23日〜9月6日 |
2022年(令和4年) | 8月23日 | 8月23日〜9月7日 |
2023年(令和5年) | 8月23日 | 8月23日〜9月7日 |
2024年(令和6年) | 8月22日 | 8月22日〜9月6日 |
2025年(令和7年) | 8月23日 | 8月23日〜9月6日 |
2026年(令和8年) | 8月23日 | 8月23日〜9月6日 |
処暑は季節を表す暦「二十四節気」のひとつ
処暑は「二十四節気」という季節を表すための暦の、節気のひとつです。
日本は古来より稲作などの農業を古くからおこなっていたので、二十四節気を季節の目安として重要視してきました。
「立春」「立秋」「夏至」「冬至」などの言葉を聞いたことがありませんか?
実は、立春・ 立秋・夏至・冬至も処暑と同じ二十四節気の中の節気なのです。
処暑は、二十四節気では秋の季節に区分されます。
秋の節気のは6つあり、処暑は2番目の節気です。
また、立春から数えて14番目の節気にあたります。
処暑は、秋の最初の節気である「立秋」から15日目ごろです。
なお処暑など二十四節気のそれぞれの節気は、年によって日にちがズレます。
なぜ、二十四節気がズレるのかについては、二十四節気の記事を見てください。
処暑は「暑さが和らぐ時期」という意味
ここからは、処暑の意味について紹介していきます。
処暑には、「暑」という漢字が入っています。
だから暑さに関係している気がしますね。
一文字目の「処」は「止まる」という意味です。
つまり「処暑」とは「暑さが止まる」、つまり「暑さが和らぎ始める」という意味になります。
ちなみに処暑は、俳句の世界で秋の季語となっています。
処暑は残暑の終わりごろにあたる
「残暑(ざんしょ)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
残暑とは、立秋を過ぎた暑い日のことです。
残暑のはじまりは立秋の日ですが、終わりは決まっておらず、暑くなくなるころまで。
だいたい残暑の終わりは8月終わり〜9月上旬ごろになることが多いです。
つまり、処暑の期間はだいたい残暑の終わりごろにあたります。
ですから、処暑という名前はおおむね実際の気候に近いものですね。
二十四節気は昔の中国の黄河下流域で生まれました。
だから二十四節気の各節気の名前は、黄河下流の気候を基準に命名されています。
黄河下流と日本では気候が違うので、二十四節気の名前が実際の日本の気候と違うことが多いのです。
だから、処暑の名前の意味が日本の実際の気候に合うのは、めずらしいパターンといえます。
とはいえ「暑さ寒さも彼岸まで」というように、暑い時期は処暑のあとももう少し続きます。
処暑は「猛暑のような暑い日が少なくなってくる時期」と考え、引き続き体調管理には気をつけましょう。
処暑の時候の挨拶と使う時期
処暑は、時候の挨拶にも使われます。
時候の挨拶とは、手紙やビジネス文書での書き出しなどで使われる「拝啓、○○の候(こう)〜」のことです。
手紙のやり取りは減りましたし、メッセージツールやチャットツールを使う機会が増えたので、時候の挨拶を見かけたり使ったりする機会は減りました。
でも、まだまだ仕事で電子メールのやり取りをしたり、資料を作ったりすることが多いので、時候の挨拶は覚えておきたいですね。
処暑を使った時候の挨拶の例文と使う時期は、以下のとおりです。
例文 | 処暑の候(こう)〜 |
---|---|
使う時期 | 処暑の期間 (処暑の日〜白露の前日まで) |
また処暑の期間で、まだ残暑が厳しいときは、残暑を使った時候の挨拶もできます。
例文 | 残暑の候(こう)〜 |
---|---|
使う時期 | 立秋の日〜8月末または9月上旬ごろまで |
処暑と残暑、どちらの時候の挨拶でもいいですが、9月に入ったら残暑の挨拶は使わないほうが無難かもしれません。
処暑の風習や食べ物について
日本ではいろいろな季節の風習があったり、時期特有の食べ物(行事食)を食べたりしますよね。
処暑では、どんな風習や食べ物があるのかも気になるところです。
ここからは、処暑の風習や食べ物などについて紹介していきますね。
処暑に由来する有名な風習や行事はない
残念ながら、処暑には特有の風習・行事はありません。
処暑に由来はしませんが、処暑の期間中におこなわれる行事としては、以下のものが知られています。
- 地蔵盆:8月23〜24日(各地。西日本に多い)
- おわら風の盆:9月1〜3日(富山県富山市八尾)
地蔵盆は、本来は旧暦で7月23〜24日ですが、新暦の8月23〜24日におこなわれることも多いです。
残暑見舞いは処暑が終わるまでに出す
さきほど、処暑は残暑の終わりごろにあたると紹介しました。
日本には、立秋の日から「残暑見舞い」を出すという風習があります。
残暑見舞いは8月末までに出し終わるようにしましょう。
また、地域によっては9月上旬までに残暑見舞いを出すところもあります。
つまり残暑見舞いは、おそくとも処暑の期間中に出さなければいけません。
くわしくは、残暑見舞いの記事を見てくださいね。
「秋雨」「二百十日」などの時期なので台風・豪雨などの災害に注意
処暑の時期は「秋雨(あきさめ)」と呼ばれ、雨が多くなり天候が不安定になる時期です。
秋雨前線が日本に停滞するので、豪雨災害に注意しなければなりません。
また、9月1日前後は雑節の「二百十日(にひゃくとおか)」という日です。
二百十日は名前のとおり、立春から210日目の日になります。
二百十日の前後は、台風・豪雨などの災害が来やすい時期とされ、災害に対する注意や準備などをする日とされていました。
このように、処暑の時期には災害にじゅうぶん注意してください。
処暑ならではの食べ物はないが、食べ物がおいしい時期
日本には正月の餅・おもち料理や、端午の節句のちまき・柏餅など、いろいろな行事食があります。
処暑にはどんなものを食べるのかが気になりますよね。
しかし、処暑には特有の行事食はありません。
とはいえ処暑は暑い時期がおさまりはじめ、秋の気配がじょじょに感じられてきます。
秋といえば「食欲の秋」といわれ、いろいろなおいしい食べ物が出回るときですね。
処暑ならではの食べ物はありませんが、処暑の時期に食べられるおいしいものを食べてみてはいかがでしょうか。
たとえば処暑の時期においしいものとして、以下のようなものがあります。
- ナス
- カボチャ(ナンキン)
- エダマメ
- ゴーヤー(ニガウリ)
- ナシ
- モモ(一部の品種)
- ブドウ
- イチジク
- カンパチ
- イワシ
- カワハギ
- カレイ
ナスは夏野菜ですが、秋のナスもおいしいですよね。
ぜひ、処暑の時期においしいものを食べてみてください。
オマケ:ほかの二十四節気の記事
記念日のしおりでは、ほかにも二十四節気に関する記事を紹介しています。