「春分(しゅんぶん)」という言葉を聞いたことがありますか?
国民の休日「春分の日」などで知っているかもしれませんね。
実は、春分は「二十四節気 (にじゅうしせっき)」という古くから日本で使われてきた暦のひとつなのです。
また春分の日といえば、彼岸でお墓参りのイメージがありますよね。
なぜ春分と彼岸が関係あるのでしょうか。
そこでこのページでは、春分の日がいつなのかや、意味・由来、彼岸との関係、春分に関するならわしや食べ物などについて紹介しますね。
春分・春分の日はいつ? 年によっては日が変わることも
まず、春分や国民の祝日「春分の日」がいつなのかについて紹介していきます。
また春分になる3月20日または21日は、日本の国民の祝日「春分の日」として制定されています。
つまり祝日「春分の日」も、年によっては日が変わるのです。
2021年(令和3年)の春分と祝日「春分の日」は、3月20日の土曜日になります。
また昔は、二十四節気の各節気は日にちではなく、期間を表していました。
期間としての春分は、春分の日から次の節気である「清明(せいめい)」の前日までです。
現代ではほとんどの場合、春分といったときは、春分の期間の最初の1日のみを指します。
なお2021年の春分の期間は、3月20日 土曜日から4月3日 土曜日までです。
▼以下に、2021年と以降5年間の春分を紹介しますね。
ぜひ、参考にしてください。
春分は季節を表す暦「二十四節気」のひとつ
春分は「二十四節気」という、日本に昔からある季節を表す暦のひとつです。
春分のほかにも「秋分」「夏至」「冬至」などを聞いたことがありませんか?
これらも二十四節気になります。
古くから日本では、稲作などの農業を中心とした生活でした。
そのため、農作業の目安として二十四節気が使われてきたのです。
日本では奈良時代ごろから二十四節気が使われ始め、現代までずっと使われてきました。
また二十四節気は6つの季節ごとに、春・夏・秋・冬の4つの季節に分かれます。
春分は「春」の季節で、春の4番目の節気になります。
さらに、二十四節気はほとんどの場合は立春から数え始めるため、春分は二十四節気で4番目の節気です。
春分の日は、ひとつ前の節気で二十四節気の最初の「啓蟄(けいちつ)」から15日後ごろになります。
なお、春分は年によって日にちがズレますが、ズレるのはほかの節気も同じです。
日にちがズレる理由については、二十四節気の記事を参考にしてください。
春分の意味は「春に昼と夜の長さが変わる分かれ目の時季」
春分という名前ですが、意味や由来が気になりますよね。
そこで、ここからは春分の意味・由来について紹介していきます。
春分は「春に昼と夜の長さが変わる分かれ目の時季」という意味です。
春分の日は、ちょうど昼の時間と夜の時間の長さが同じになります。
春分を迎えるまでは昼の時間が短く、夜の時間が長いです。
しかし春分で昼と夜の長さが同じになり、春分を過ぎると少しずつ昼の時間が長く、夜の時間が短くなっていきます。
ちなみに春分とは、地上から見た太陽の角度が「春分点」という部分に達したときのことです。
春分点を太陽が通る日が、春分の日になります。
春分点を太陽が通るとき、太陽は真東から昇り、真西に沈むのです。
そのため、昼と夜の長さが同じになります。
なお、秋にも昼の時間と夜の時間が同じになる日があるんです。
その日を「秋分」といいます。
秋分については、以下のページを見てください。
春分の時候の挨拶と使う時期・例文
手紙やビジネス文書などで、時候の挨拶をよく見かけますよね。
実は時候の挨拶でも、春分が使われます。
時候の挨拶とは、書き出しでよく使われる「拝啓、○○の候〜」という文です。
そこで、春分を使った時候の挨拶の例文を紹介しますね。
▼春分を使った時候の挨拶の例文・使う時期は、以下のとおりです。
例文 | 春分の候(こう)〜 |
---|---|
使う時期 | 春分の期間 (春分の日〜清明の前日まで) |
ぜひ参考にしてください。
春分のならわし・食べ物
日本では、さまざまな行事やならわし・食べ物(行事食)がありますよね。
春分でも行事やならわし・食べ物があるのか気になりませんか。
そこで、春分ならではのならわし・食べ物などを紹介していきますね。
春の彼岸

「春分の日」と聞いたら、彼岸で墓参りをする印象がありませんか。
彼岸は、春分を中心に、春分の前3日と後3日の期間です。
そのため春分の日は、「彼岸の中日(ちゅうにち)」と呼ばれます。
また、彼岸の初日は「彼岸の入り」、最後の日は「彼岸の明け」です。
なお彼岸は春と秋の2回あり、春分のときの彼岸は「春の彼岸」と呼ばれます。
春分は太陽が真東から昇り、真上を通過して真西に沈みます。
昔は、この現象をあの世とこの世がもっとも近くなる日と考えられていたのです。
だから彼岸に墓参りをすることで、あの世にいる先祖を身近に感じられ、先祖を供養できるといわれていました。
これが彼岸に墓参りをする理由です。
ちなみに、彼岸は仏教行事の「彼岸会(ひがんえ)」に由来した行事といわれています。
平安時代前期より始まったといわれ、江戸時代に庶民のあいだに広まりました。
なお宗教・宗派や、地域などによって彼岸のならわしには違いがあります。
彼岸についての詳細は、以下のページを見てくださいね。
ぼたもちを供える・食べる

春の彼岸といえば「ぼたもち(牡丹餅)」です。
墓や仏壇にぼたもちをお供えしますよね。
家族でぼたもちを食べたりもします。
スーパーマーケットや和菓子屋さんでは、春分が近くなると店頭にぼたもちがたくさん並びますよね。
彼岸にぼたもちを食べる理由
なぜ春分、春の彼岸といえばぼたもちなのでしょうか。
ひとつめの理由は、餡に使われている小豆(アズキ)です。
小豆には古くから、邪気払いの力があるといわれています。
春分のことは、暖かくなったり寒くなったりし、気候が安定しません。
だから体長を崩しやすいんです。
昔の人は、体調不良は邪気によるものといわれていました。
だから邪気払いの力のある小豆を使ったぼたもちを食べたのです。
ふたつめの理由は、昔は砂糖が貴重だったため。
ぼたもちの餡には、砂糖はふんだんに使われていますよね。
だから昔の人は、貴重な砂糖を使ったおはぎを先祖に供えることで、先祖へ感謝の意を示しました。
みっつめの理由は、「先祖と自分たちが会う」という意味があるからです。
これは、小豆の赤色と餅の白色の2色をしているからといわれています。
ぼたもち・おはぎなどの呼び名の違い
ぼたもちは「おはぎ(御萩)」ともいいますが、季節によって呼び名が変わっています。
春はボタン(牡丹)の花にちなんで「ぼたもち」、秋はハギ(萩)の花にちなんで「おはぎ」なんです。
なお夏は「よふね(夜船)」、冬は「きたまど(北窓)」です。
オマケ:ほかの二十四節気の記事
記念日のしおりでは、ほかにも二十四節気に関する記事を紹介しています。