冬至(とうじ)という言葉を聞いたことがありますか?
冬至は、12月にある日本の伝統行事です。
カボチャを食べたり、ユズ湯に入ったりする日といえば、思い浮かぶかもしれません。
冬至にまつわる意味を調べていると、以下のようなことも気になるかもですね。
- 冬至の日っていつ?
- 冬至はどんな日なのか?
- なぜ冬至の日にはカボチャを食べたり、ユズ湯に入ったりするのか?
- ほかの冬至のならわしは?
そこで、このページでは冬至がいつなのかや、冬至の日の意味・由来、カボチャを食べたりユズ湯に入る理由、いろいろな冬至のならわしなどについて詳しく紹介します。
2021年(令和3年)の冬至は12月22日
そもそも冬至っていつなのか気になりますよね。
まずは、冬至の日はいつなのかについて紹介していきます。
2021年(令和3年)の冬至の日は、12月22日 水曜日です。
昔は、二十四節気の各節気は日にちではなく、期間を表していました。
期間としての冬至は、冬至の日から、次の節気である「小寒 (しょうかん)」の前日までです。
なお現在では、期間の最初の1日のみを指すことがほとんど。
2021年の小寒の期間は、12月22日 水曜日から翌2022年(令和4年)の1月4日 火曜日までです。
▼あわせて、今年と向こう5年間の冬至と冬至の期間もみてみましょう。
年 | 冬至の日 | 冬至の期間 |
---|---|---|
2021年(令和3年) | 12月22日 | 12月22日〜翌年1月4日 |
2022年(令和4年) | 12月22日 | 12月22日〜翌年1月4日 |
2023年(令和5年) | 12月22日 | 12月22日〜翌年1月5日 |
2024年(令和6年) | 12月21日 | 12月21日〜翌年1月5日 |
2025年(令和7年) | 12月21日 | 12月22日〜翌年1月4日 |
2026年(令和8年) | 12月21日 | 12月22日〜翌年1月4日 |
冬至の日は12月22日前後で、年によって変わることも
冬至の日は、だいたい12月22日です。
「だいたい」というのは、年によっては前後にずれて、12月21日だったり12月23日だったりすることもあるからです。
私たちは、ふだん地球が太陽のまわりを回るのを1年とし、1年=365日と考えていますよね。
でも実際は、地球は太陽のまわりを365日+約6時間かけて一周しています。
つまり、毎年誤差によるズレが生じています。
だからカレンダーでは、4年に1度「閏年(うるうどし)」をつくって調整しています。
しかし、冬至の日は調整をしないので、年によっては22日より前後することがありますよ。
冬至とは? 一年で夜がもっとも長く、昼がもっとも短い日
そもそも冬至とは、どんな日なのかが気になりますよね。
ここからは、冬至とはどういう日なのかを紹介していきますよ。
冬至というのは、「太陽の黄経(こうけい)が270度に達し、太陽の中心が冬至点を通過する日」のこと。
学術的な定義なので、専門用語があったりしてわかりにくいですね。
わかりやすくいえば、冬至というのは北半球で一年のうち、地上から見て太陽がもっとも低い場所を通る日ですよ。
そして、冬至の日は1年でもっとも夜の時間が長く、もっとも昼の時間が短い日なんです。
ちなみに、ここでいう昼と夜の境目は、日の出と日の入りですよ。
逆に、1年でもっとも昼の時間が長く、もっとも夜の時間が短い日が夏至です。
冬至とが夏至の昼時間と比べると、冬至は夏至よりも4時間以上も昼が短いです。
なお、日本だけでなく北半球の海外にも冬至があります。
英語だと「Winter solstice(ウィンター・ソルスティス)」と呼びますよ。
冬至は二十四節気のひとつ
冬至がどんなものなのかわかったら、冬至の歴史について気になりますね。
次は、冬至の歴史を紹介しますよ。
冬至がは、いつごろからあるのかは、詳しくわかっていません。
しかし、生まれたのは古代の中国とされています。
二十四節気が日本に伝来たのは、6世紀ごろですよ。
冬至は「二十四節気(にじゅうしせっき)」というもののひとつです。
二十四節気は、一年を24等分して季節を表すもので、これも中国生まれ。
冬至は、立春(りっしゅん)から数え始め、二十四節気の22番目にあたります。
暦上では、冬のド真ん中とされていますよ。
冬至は「一陽来復」で縁起がいいとして祝うようになった
冬至は、ならわしがたくさんあります。
それは「一陽来復(いちようらいふく)」という考え方があるためです。
冬至は二十四節気では冬の中間地点。
また、冬至は一年で一番昼が短い日です。
冬至を過ぎれば、春が近づいてきます。
そして、昼の時間もじょじょに長くなっていきますよね。
だから、冬至は一年の「底」と考え、冬至を過ぎると運気が上昇していくとされていました。
そこで運気の上昇をさらに高めたり、春を元気に迎えるために邪気払いをするという考えが生まれたのです。
昔の人にとって、冬至はとても縁起がいい特別な日だったんですよ。
冬至に関するならわしについて
冬至が古くからあるというのがわかったら、冬至にはどんなならわしがあるか知りたいですよね。
そこで、ここからは冬至でおこなわれるならわしについて紹介していきます。
夏至と違って、冬至はならわしが多いですよ。
ただし、全国的におこなわれるおなじみのならわしもあれば、地域限定のならわしなどもたくさんあります。
そのため、代表的なものを紹介しますね。
カボチャ料理を食べる

冬至のならわしで一番知られているのは、カボチャ(ナンキン、南瓜)を食べることではないでしょうか。
冬至の日になると、家の晩ごはんにカボチャ料理が出てきたり、スーパーの惣菜コーナーにカボチャ料理が並んだりしますね。
実は冬至に食べるカボチャ料理の定番は、地域によってかなり違うんです。
▼代表的な冬至のカボチャ料理は、以下のようなもの。
- カボチャの煮っ転がし
- カボチャのいとこ煮(カボチャと大豆の煮物)
- カボチャ粥(かゆ)
- カボチャ入り汁粉(しるこ)
- カボチャ入りの雑煮(ぞうに)
- カボチャ汁
- カボチャ入りのうどん・にゅうめん・ほうとう
ほかにもたくさんあります。
さらに最近は、子供やカボチャが苦手な人が喜ぶように、洋風のカボチャ料理や、カボチャを使った菓子・スイーツなども登場していますよ。
冬至の日にスーパーや飲食店、菓子屋さんをのぞいてみてはいかがでしょうか。
ところで、カボチャといえば夏野菜の代表格ですよね。
なぜ冬至に夏野菜のカボチャを食べるのかが気になります。
実はカボチャは、保存状態によっては、長期保管ができる野菜なんですよ。
だから、昔は採れる野菜の少ない冬にカボチャを食べて、栄養を補給しようと考えました。
カボチャはカロチンやビタミンが豊富で、栄養価が高いのが特徴。
昔は、冬至にカボチャを食べると、春まで風邪を引かないといわれていましたよ。
冬至は、二十四節気では冬の中間地点です。
冬至を乗り切れば、元気に春まで過ごせると考えられていました。
ほかにも、カボチャは別名・ナンキンともいいます。
「ン」が名前に付く食べ物を冬至に食べると、運気が上昇するというのも、カボチャを食べる理由です。
「ン」が付く食べ物のならわしについては、あとで詳しく紹介しますね。
さらにカボチャが長期保管ができる食べ物なので、長寿を願う意味もあるといわれていますよ。
なお、冬至にカボチャを食べるならわしは、江戸時代中に生まれたという説があります。
ユズ湯に入る
カボチャと並んで、冬至のならわしで有名なのがユズ湯。
湯船にたくさんのユズ(柚子)をそのまま浮かべたりカットして浮かべたりし、そのお風呂に入るというものです。
ところで、なぜユズ湯なんでしょうか?
それは、ユズは香りが強いので、邪気払いができると考えられていたからですよ。
昔は、香りが強いものは邪気が苦手としていて、寄りつかなくなると思われていました。
冬至の時期に採れるもので、香りが強いものの代表格がユズなのです。
ユズ湯は、ユズを湯船に入れることで、ユズの香りだけでなく、ユズが持つ栄養や邪気払いの力を直接体にまとわりつかせようというものです。
端午の節句の「菖蒲湯(しょうぶゆ)」のショウブ(葉ショウブ)」と同じ考えですよ。
ちなみに、ユズ湯の入りかたは、地域によって違いがありますよ。
ほかにも、ユズの木は寿命が長いので、長寿を願っていたという理由もあります。
また、昔は特別な日に入浴をして身を浄める習慣がありました。
冬の中間地点で、昼がもっとも短い日。
つまり冬至を過ぎれば、春に向かって上昇機運になると考えていたので、冬至を特別な日として入浴しました。
なお、実際いユズは栄養価が高い食べ物です。
またユズの香りには、リラックス効果もあるといわれています。
最近では冬至になると、カボチャ料理とともに、ユズを使った料理や菓子・スイーツがスーパー・飲食店・菓子店などにならびますよ。
さらに、昔から伝統的にユズ入りのそばを食べる地域も存在しています。
ユズ湯だけでなく、ユズを使った料理・菓子を楽しむのもおすすめですよ。
小豆を使った料理を食べる
カボチャやユズに比べると知名度が落ちますが、小豆(あずき)も冬至を代表する食べ物なんですよ。
冬至には小豆を使った料理を食べるならわしがある地域も多いです。
なぜ、冬至に小豆なのでしょうか?
それは、赤い色には邪気払いの力があると、昔から信じられて生きたからです。
小豆は赤い色が濃いので、邪気払いの力が強いといわれていました。
さらに、小豆は秋に収穫されるので、冬至の時期にたくさん小豆が手に入ります。
カボチャやユズ湯と同じように、冬の中間地点で、昼がもっとも短い冬至の日に邪気払いをし、春まで元気に過ごそうというのが理由です。
▼冬至に食べる小豆を使った料理の代表的なものは、以下のとおり。
- 小豆粥(あずきがゆ)、冬至粥(とうじがゆ)
- カボチャのいとこ煮
- 善哉(ぜんざい)
- 汁粉(しるこ)
- 赤飯(せきはん)
ほかにも、地域によってさまざまな小豆を使った料理があります。
カボチャのいとこ煮は、カボチャ料理でも紹介しましたね。
▼いとこ煮は、とくに以下の地域でよく食べられていますよ。
- 山形県や福島県などの東北地方の一部
- 北陸地方
- 大阪府や奈良県などの近畿地方の一部
- 山口県の一部
ただし、同じいとこ煮であっても、地域によって特徴が違いますよ。
「ト」が付く名前の食品を食べる
冬至になぞらえて、名前に「ト」が付く食べ物を食べるならわしがある地域もありますよ。
▼冬至に食べる「ト」が付く食べ物は、おもに以下のようなもの。
- トウフ(豆腐)
- トウガン(冬瓜)
- トウガラシ(唐辛子)
- ドジョウ(鰌)
- イトコ煮
ここでも、いとこ煮が出てきましたね。
名前に「ト」が付く名前を食べるならわしは、語呂合わせが好きな日本人らしいならわしと思います。
夏の土用の丑の日に「ウ」が付く食べ物を食べるならわしも、同じですね。
「ン」が付く名前の食品を食べる
「ト」のほかにも、「ン」が付く食べ物を食べるならわしもあるんですよ。
冬至は冬の中間地点で、昼が一番短い日と紹介しました。
つまり、冬至を境目に昼が少しずつ長くなっていきます。
そのため、運気も冬至を境に上昇していくと考えられました。
そこで、運気がもっと上昇するように、「ン」が付く食べ物を体内に取り入れて、運を付けようとしたのです。
「ウンが付く」と「ンが付く」の語呂合わせですね。
「ン」が付く食べ物の中でも、名前の中に2つ「ン」が付く食べ物は特に運気が上昇するといわれました。
名前に「ン」が2つ付く7つの食べ物は「冬至の七種(ななくさ)」として、特別視する地域がありますよ。
▼冬至の七種は、以下のとおり。
- ナンキン(南京:カボチャ)
- ニンジン(人参)
- レンコン(蓮根)
- キンカン(金柑)
- ギンナン(銀杏)
- カンテン(寒天)
- ウンドン(饂飩:うどんの元の名)
なお「ン」が付く食べ物を食べるならわしは、地域差がありますよ。
ほかにも「ン」が付く食べ物として、コンニャク(蒟蒻)を食べる地域も。
また「ン」が付く食べ物を食べるならわしがない地域もありますよ。
冬至祭をおこなう
食べ物を食べるならわしのほかにも、冬至にお祭り(冬至祭:とうじさい・とうじまつり)をする神社や寺もありますよ。
冬至は冬の中間地点で、昼が一番短く、冬至のあとは春に向けて昼が長くなっていきます。
そこで、冬至に厄払いをしようと考えて、神社で祭りをしたり、寺でお祓いをしたりするならわしが生まれました。
▼冬至に祭りをおこなう有名な神社や寺は、以下のとおり。
- 一山神社(いっさん じんじゃ:埼玉県さいたま市)
- 穴八幡宮(あな はちまんぐう:東京都新宿区)
- 車折神社(くるまざき じんじゃ:京都府京都市)
- 放生寺(ほうじょうじ:東京都新宿区)
- 正暦寺(しょうりゃくじ:奈良県奈良市)
なかでも、さいたま市の一山神社の冬至祭は有名です。
火を焚いて、その中にユズを投げ入れます。
その後、参加者が火渡りをおこないますよ。
そのため、一山神社の冬至祭は別名「柚子祭」とも呼ばれています。
また、東京都の穴八幡宮は冬至祭で「一陽来復御守」が配られることで知られていますよ。
一陽来復御守は、金運上昇の御利益があるとして人気です。
さらに、穴八幡宮の冬至祭は、ユズが入った「冬至そば」の出店でも知られています。
ほかにも冬至祭がおこなわれる神社・寺はたくさんあります。
近くに冬至祭をする神社や寺があるかもしれませんので、調べてみてはいかがでしょうか。
さいごに
冬至は、カボチャやユズ以外にもならわしが多いので、家族みんなで楽しめるのが特徴です。
夏至は、梅雨にくわえて農業が忙しい時期だったので、あまり行事がありませんでした。
夏至に楽しめなかったぶん、冬至はみんなで楽しんでみてはいかがでしょうか。
その楽しみの余韻を残しながら、クリスマスに突入するのもいいかもしれませんね。
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