「如月(きさらぎ)」という言葉を聞いたことがありませんか?
和風月名という、昔から日本にある月の呼び名です。
しかし如月は読み方も特殊ですし、なぜ如月というのか理由も想像できませんよね。
そこで、このページでは如月が何月なのかや、如月の意味や由来、ほかの呼び名などについて紹介します。
如月とは2月のこと
如月は、2月の別名です。
カレンダーや手帳でも、2月と書いてある近くに如月と書いているものもあります。
一度、家や会社のカレンダーやご自身の手帳を確認してみてください。
もしかしたら、如月の名前が書いているタイプのものかもしれませんね。
なお旧暦での如月、つまり旧暦の2月は、現在の暦(新暦)で以下のとおりです。
| 月始 | 2月下旬〜3月中旬 |
|---|---|
| 月末 | 3月下旬〜4月中旬 |
新暦と旧暦を換算するときは、計算方法に違いがあるため毎年ズレます。
実は、市販のカレンダーや暦の中には、旧暦の日付も書かれたものも売っているのです。
旧暦の日付が知りたいときは、ぜひ買ってみてください。
如月の意味・由来は漢字と読みで別々
如月は、漢字どおりの読み方でないの不思議ではありませんか?
如月にはどんな意味・由来があるのか気になってしまいます。
そこで、ここからは如月の意味や由来について紹介しますね。
まず「如月」という字と「きさらぎ」という読みは、由来が別々にあります。
「如月」という字は、古い時代の中国での2月の呼び名が日本に伝わり、使われるようになりました。
いっぽう、「きさらぎ」という読みは、日本に古くからある呼び名で「やまと言葉」です。
つまり「きさらぎ」という昔からの名前に、「如月」という漢字を当てたものなのです。
ちなみに「如月」には、そのまま音読みで「じょげつ」「にょげつ」という読み方もあります。
「きさらぎ」という読みはかなり古いため諸説ある
「きさらぎ」は日本に昔からある呼び名だと紹介しました。
いったいいつごろからあるのでしょうか?
気になりますよね。
でも記録が残っていないため、いつから「きさらぎ」が使われているのかはわからないのです。
奈良時代につくられた日本最古の歴史書『古事記(こじき)』や『日本書紀(にほんしょき)』に「二月」を「きさらぎ」と読む場面があります。
そのため少なくとも奈良時代初期には「きさらぎ」の読みは存在していました。
しかし、それよりも古くからあったと考えられます。
いつからあるのかわからないくらい古い呼び名のため、「きさらぎ」の意味や由来も多くの説があるのです。
かなりたくさんの説があるのですが、そのなかから有力といわれる説を紹介します。
「衣更着」説
旧暦の2月は寒さがやわらいでくるいっぽう、まだまだ寒い日も残る時期です。
そこから寒さのために衣を重ねるため「衣更着月(きぬさらぎつき)」となり、「衣更着(きさらぎ)」に変化したものとする説です。
「衣更着」は、平安末期の歌人・藤原清輔(ふじわら きよすけ)が『奥儀抄(おうぎしょう)』という書物で「さらに衣を来重ねる」という解釈をしています。
「衣更着」は、かなり古い時代からある説なのです。
旧暦の如月(2月)の始まりは、現行暦の2月下旬〜3月中旬ごろになります。
少しずつ寒さがやわらいで暖かい日も出てくる時期です。
しかしまだまだ寒い日も多く、上着も手放せない時期ですよね。
そのようすを表したのが「衣更着」なのでしょう。
「気更来」説
「気更来」説は、「気が更に来る月」という意味から「気更来月(きさらぎつき)」となり「気更来(きさらぎ)」に変化したとする説です。
旧暦2月の時期は、少しずつ春めいてくるときですよね。
「気」は陽気を意味しており、「気更来」は「陽気がさらに強くなる」ということです。
江戸時代中期に、国学者・谷川士清(たにがわ ことすが)が記した辞書『和訓栞(わくんのしおり)』にも載っており、「気更来」説はかなり古くからあります。
「草木張月」説
旧暦2月は、草木が芽を張り出す時期なので「草木張月(くさきはりづき)」が由来であるとする説です。
「草木張月」の読みが「きさらぎ」の読みに変化しました。
「草木張月」説は、江戸中期の人物・賀茂真淵(かも まぶち)がとなえた説です。
旧暦2月の時期は寒い日もありながら、少しずつ暖かい日も増えてくるという気候に当てはまりますよね。
「来更来」説
「来更来」説は、正月に来た春(新春)がさらに春めく時期という意味で「来更来月(きさらぎつき)」とまったという説です。
そして、「来更来月」が「来更来(きさらぎ)」に変化したとされています。
「来更来」説は、江戸時代中期に山岡浚明(やまおか まつあけ)が書いた百科事典『類聚名物考(るいじゅ めいぶつこう)』に記されていて、古い説です。
「葱更生」説
「葱更生」説は、前の年の秋に落ちた草木から新芽が出るから、草木が更に変わる月という意味で「葱更生月(きさらぎつき)」とする説です。
「葱更生月」が「葱更生(きさらぎ)」に変化したとされています。
「葱更生」説は、江戸時代中期の書物『和語私臆鈔(わご しおくしょう)』にも載っている説です。
「木更月」説
「木更月」説は、「葱更生」説と同じく草木から新芽が出てくる時期であることから「木更月(きさらづき)」としたという説です。
「木更月」が「木更月(きさらぎ)」と読むようなりました。
「木更月」説は、昭和初期に出版された松岡静雄『日本古語大辞典』に書かれています。
「如月」という字の由来
さきほど「如月」の漢字は、古い時代の中国の呼び名が日本に伝わったと紹介しました。
では、如月という漢字の由来は何なのかが気になりますよね。
如月の漢字の由来は、中国最古の字書とされる紀元前2世紀ごとの書物『爾雅(じが)』にあるといわれています。
爾雅の中に「二月を如となす」と記載があり、これに由来しているという説が有力です。
「如」という字には「従う」「赴く」という意味があり、如月は「動植物が春に向かって動き始める月」という意味だという説があります。
如月(2月)の別名一覧
2月には、如月のほかにも呼び名があります。
代表的なものは、以下のとおりです。
- 建卯月(けんうづき):十二月建
- 梅(うめ):花暦(旧暦)
- 椿(つばき):花暦(新暦)
- 如月(じょげつ、にょげつ):昔の中国での呼び名に由来
- 梅見月(うめみづき)
- 初花月(はつはなつき)
- 雪消月(ゆききえつき、ゆきげしつき)
- 小草生月(おくさおいつき)
- 殷春(いんしゅん)
- 仲春(ちゅうしゅん、なかのはる)
- 麗月(れいげつ)
- 令月(れいげつ)
なお、ほかにも2月の別名はあります。
さいごに
如月の由来は諸説ありますが、どれも季節に合った理由ではないでしょうか。
現代は新暦なので少し季節感がズレますが、旧暦の時期を考えてみると「なるほど」と思います。
数字の月名は順番がわかりやすくて便利ですが、季節感がある「如月」も使ってみたら風流でおもしろいかもしれません。
オマケ:和風月名や暦に関するほかの記事
記念日のしおりでは、和風月名や暦に関する記事をいろいろ紹介しています。
ぜひ、参考にしてくださいね。
