「芒種(ぼうしゅ)」という日は知っていますか?
もしかしたら聞いたことがないかもしれませんね。
見覚えのない難しい漢字が使われています。
かつて芒種は農作業、とくに稲作をしているときにとても大切な日でした。
でも、現代では農作業をしない家も増えたり、サラリーマンなどとの兼業農家が増えたりします。
また機械化によって昔と農作業の内容自体も変わりました。
なので農作業といっても、いまいちピンとこないですよね。
そこでこの記事では、芒種はいつなのか、芒種の意味や由来、農作業との関係、芒種にまつわる食べ物や習慣などについて紹介していきます。
芒種はいつ?毎年日が変わり6月4〜6日ごろ
そもそも芒種はいつなのかが気になりますよね。
実は、芒種は毎年日にちが変わります。
毎年6月4〜6日のいずれかです。
2021年(令和3年)は6月5日 (土)が芒種となっています。
またかつて、芒種は期間を表していました。
現代では期間の始まりの1日のみを指して、芒種と呼ぶことが多いです。
ちなみに2021年の芒種の期間は、6月5日 (土) 〜 6月20日 (日)まで。
▼あわせて、向こう5年間の芒種の日と期間も紹介しますね。
年 | 芒種の日 | 芒種の期間 |
---|---|---|
2021年 (令和3年) | 6月5日 | 6月5日〜6月20日 |
2022年 (令和4年) | 6月6日 | 6月5日〜6月20日 |
2023年 (令和5年) | 6月6日 | 6月5日〜6月20日 |
2024年 (令和6年) | 6月5日 | 6月5日〜6月20日 |
2025年 (令和7年) | 6月5日 | 6月5日〜6月20日 |
2026年 (令和8年) | 6月6日 | 6月6日〜6月20日 |
芒種は季節を表す暦「二十四節気」のひとつ
芒種は「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつです。
二十四節気は、季節の表すための暦で、日本で古くから使われています。
季節を表すので、農作業をするときの目安になっていました。
稲作をはじめ、日本は農業が文化に深く関わっています。
芒種は、二十四節気のうち「立春」から数えて9番目です。
また季節では夏にあたり、夏のなかでは「立夏」から数えて3番目になります。
ちなみに俳句では、芒種は夏の季語です。
芒種はどんな日?昔は稲や麦などの種をまく目安の日だった
芒種はどんな意味があって、何をする日なのでしょうか。
ここからは、芒種の意味について紹介しています。
芒種は昔から、穀物の種をまく目安の日とされていました。
この場合の穀物とは、稲のことです。
さきほど、芒種の日は6月4〜6日ごろから6月20日ごろと紹介しましたね。
この時季は梅雨で、雨の多い時季です。
田に必要な水が確保しやすいため、田植えの時季の目安になりました。
ただし、地域によって稲の種まきの時期に違いがあります。
また現在は、稲の品種改良や農機具の進化、兼業農家の増加など、環境が大きく変わりました。
そのため、現在の田植えの時季は昔より早く、芒種のひとつ前の節気・小満のころにすませることも多くなっています。
ちなみに二十四節気は、もともと中国の黄河下流域で生まれました。
そのため黄河下流域の気候を基準にしているので、日本の気候とズレることが多いです。
しかし芒種は「田植えをする時季」という意味では、節気の名前と実際の気候のズレが少ないといえます。
なぜ昔の人は芒種を稲の種まきの目安としたのか?
昔の日本人は、芒種を種まきの目安にしたのはなぜでしょうか?
旧暦は月の満ち欠けを基準にしているので、毎年季節がずれるのです。
たとえば、旧暦で今年の6月と2年後の6月では、気候が少し違います。
しかし、稲作を始めとする農作業を中心に生活してきた日本人にとって、季節のズレは困りますよね。
そこで季節を基準にした暦「二十四節気」を使うことで、農作業などの目安にしてきました。
ですから、芒種は稲などの種まきの目安にされていたのです。
なお現在の新暦での芒種は、梅雨(つゆ)入りの目安にされることが多いです。
新暦で芒種から数えて5日目、立春から数えて135日目が「入梅(にゅうばい)」になります。
つまり新暦の6月9〜11日ごろですね。
入梅は、梅雨入りする目安といわれいます。
芒種の名前の意味は?
芒種の漢字にはどんな意味があるか気になります。
とくに「芒」の字はあまり見かけない字ですよね。
「芒」は訓読みで「のぎ」と読みます。
「のぎ」とは、稲など穀物の実の先にある針状の突起を指します。
ですから、芒種は「稲や麦などの穀物の種」という意味ですね。
ちなみに「芒」は「すすき」とも読みます。
こちらは、植物のススキのことです。
なぜ芒種の日は毎年変わる?
ところで、なぜ芒種の日が毎年ずれるのか気になりませんか。
それは芒種は天文学的な理由で決まるからです。
地上から見た太陽の角度が毎年同じ位置に来たときを、芒種の日としています。
しかし、太陽の動きはキッチリ365日であるというわけではありません。
実際は365日と約6時間なのです。
このため、日にちでは「閏年(うるうどし)」で調整します。
しかし芒種などの二十四節気は調整をしませんので、太陽の位置が同じになる日は毎年変わりますよね。
これが芒種の日が毎年変わる理由です。
なお、もともと芒種は日にちではなく、期間を意味意味していました。
6月4〜6日ごろから始まり、夏至の日の直前までの期間が芒種だったのです。
しかし、しだいに芒種の期間の初日を指して「芒種」と呼ぶことが多くなりました。
芒種には御田植祭(御田植神事)がおこなわれる
冬至にはカボチャ(ナンキン)を食べたり、春分に「ぼたもち」、秋分に「おはぎ」を食べたりしますよね。
昔からの行事には食べ物を食べることが多いです。
では、芒種には何を食べるのでしょうか?
残念ながら、芒種では特定のものを食べる風習はありません。
旧暦での芒種の日は、穀物の種まきをする日なのですから農作業で忙しく、ゆっくり食べ物を楽しむ余裕はなったのかもしれませんね。
なお現在の芒種は、種まきの時期とずれているうえ、梅雨入り前にあたります。
そのため、あまり注目されていないのです。
御田植祭・御田植神事
芒種では、イベントなどの習慣はあまりありません。
農作業で忙しい時期だからです。
ただしイベントなどの行事は少ないですが、昔から芒種のころやその前後に神社で「御田植祭(おたうえさい)」「御田植神事(おたうえしんじ)」というならわしがおこなわれています。
現代でも一部の地域では、芒種のころに御田植祭・御田植神事をおこなう地域・神社もあるのです。
なかでもとくに有名なのは、以下の2つ。
神社・名称 | 地域 | 開催時期 |
---|---|---|
住吉神社 御田植神事 | 大阪府大阪市住吉区 | 6月14日 |
伊雑宮 御田植祭 (磯部の御神田) | 三重県志摩市磯部町 | 6月24日 |
どちらも日本三大御田植祭に数えられ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
オマケ:ほかの二十四節気の記事
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。